趣旨・目的


@ 養成する人材等の地域におけるニーズについて
 茨城県における麻酔科医師数は、人口10万人に対し2000年度は3.1人(47都道府県中最下位)、2004年度は3.6人(45位)であり、東京都の1/3の充足率である。また、埼玉(2004年度、44位)、千葉(43位)、福島(39位)も同様な問題を抱えていることから、近県からの補充も期待できない。一方、県下5つの救命救急センターのうち3病院では麻酔専門医不在もしくは不足により、麻酔科医がオンコール体制を敷けず良質な3次救急医療を提供できていない。従って、急性期医療を担う麻酔科医、救急医、集中治療医の不足の程度は深刻で、その充足は急務であり、地域におけるニーズは日本一高いと言って過言ではない。

A プログラムの取り組みと目標
 こうした背景を踏まえ、本プログラムでは麻酔科医の数的拡充はもとより、より質の高い麻酔・救急医療を実践できる人材の養成を目標としている。特徴は、卒前教育から後期研修まで続くため連続的で、麻酔診療から救急、集中治療までを広く包括し、目的主導型(資格指向型)研修プログラムである。また卒前教育や初期研修において先進的シミュレーション教育を導入し、リアリティーの高い実習体験を徹底するため、後期研修において麻酔科への誘導を強く促すことが出来る。中・長期的展望に立ち10年後の麻酔科医師数を現在の1.5倍(人口10万人に対し5.4人[47都道府県中28位])に増やす継続的取り組みとしている。こうした取り組みは茨城県保健福祉部における医師確保総合対策事業とともに、茨城県広報誌や附属病院麻酔科ホームページにて広く紹介し、県外からのIターン、Uターン学生や医師獲得の補助とするとともに、県内高校出身医学生、県内出身他県勤務者等情報提供者名簿掲載者に対して積極的に情報を周知する。さらに、徹底的なシミュレーション教育や再教育プログラムによって潜在的(有資格、非勤労)医師を発掘し、転科を希望する医師にも対応することができる。
 一方、シミュレーション・ラボにて開発された麻酔・救急シナリオ(シミュレーション・プログラム)は新たな教育媒体として公開するだけでなく、同様の教育を行っている全国施設と情報交換・ネットワーク形成することにより教育メディアの整備、データベース化と全国のシミュレーション教育活性化に結びつけることが出来る。

B 成果、効果等について
   本取り組みにより、茨城県における3年後の麻酔科医師数が現在の100人から125人に増加すると(毎年約8人の増加)、2次医療圏における基幹病院と救命救急センターではほぼ麻酔科医が充足し(一人当たり全身麻酔症例500件/年以内)、救急医療を下支えすることが出来る。また、2次医療圏ごとの救急医療体制が整うと、急性期医療に携わる医師の過剰労働による疲弊が緩和され、過労→学生・研修医の敬遠→人手不足、といった悪循環を断ち切ることができ、手厚い麻酔科後期研修が可能となる。