初診受付時間
8:30~16:30(再診受付 7:30~16:00)
診療時間
平日9:00~17:00
休診日
土日、祝日、年末年始
面会時間
14:00~21:00(精神病棟は14:00~18:00)
玄関施錠時間
22:00~06:00
診療に関するお問い合わせ
029-853-3621(月~木 08:30~15:00)
代表番号
029-853-3900
予約電話番号
029-853-3570(※当院は全科予約制です)

つくホスPicksDetail

認知症のこと教えてください!





もし、認知症になってしまったら?
どんなことが起こるの? 周りはどう接したらいいの?
遺伝するの? 予防できるの? 治るの?
筑波大学附属病院精神神経科の教授であり、
認知症疾患医療センター部長でもある新井哲明先生に、
筑波大学附属病院のサポーター(つくホスサポーター)が
素朴な疑問をぶつけました。




進藤 身近な人にはいないのですが、なぜ認知症になるのですか。
新井 ほとんどの認知症は、アミロイドβたんぱくやタウといったたんぱく質が、脳に蓄積してくることが原因です。と、のっけからこんなことを言うと引かれてしまうかな(笑)。
倉持 認知症というのは病気の名前ではないのですか。
新井 よく聞かれるのは「アルツハイマー病とは違うのですか」と。認知症は、認知機能が落ちてくる、病気全般を指します。認知機能が低下する原因になる疾患(病気)は、アルツハイマー病はもちろん、そのほか100も200もあります。ただ、いちばん多いのがアルツハイマー型認知症で、だいたい6~7割。次に多いのが血管性認知症で、脳梗塞とか脳卒中などの後遺症から起こるものです。3番目に多いのがレビー小体型認知症で、全体の約5%位。そして前頭葉側頭葉変性症が約1%位。この4つを4大認知症といいます。
進藤 この4つの認知症の違いはあるのですか。
新井 血管性認知症以外は、脳で起こっていることは同じです。加齢とともに、脳に特定のたんぱく質が溜まっていくのですが、アルツハイマー型認知症では、アミロイドβたんぱくやタウが一定以上超えてしまうことで発症するということが分かっています。
倉持 老化ということは、進行して治らない……?
新井 老化を止められないように、少しずつ進行します。進行を遅らせるお薬はあるので、実際外来でも使っています。今、進行を止めるに近い作用のお薬の治験が行われていて、数年後には認められるのではないかという段階です。
進藤 お薬は、認知症の種類によって違うのですか。
新井 認知症の原因となった病気によって異なるので、その見極めの診断が肝心です。早期の段階からお薬を飲むことで、日常生活を自分らしく生活できる期間が延びます。


予防のためには、バランスの良い食事とポリフェノール



倉持 高齢の人だけでなく、若年性認知症という方も聞きます。
新井 医学的には、65歳未満で発症された方を若年性認知症と定義しています。40、50代の方もおられ、同じように進行します。
倉持 たとえば予防のための食品を摂るのはどうでしょうか。イチョウの葉とかは?
新井 いろいろな食品がいわれていますが、どれも科学的なエビデンスが検証されてはいないので、私たちが外来で絶対いいですよと、患者さんにお話しできるものはないのです。科学的なエビデンスとしては、地中海食がいいという論文は出ています。
倉持 何がいいのでしょう。
新井 ギリシャとか南イタリアの料理だそうですが、緑黄色野菜と果物、魚介類が多く、赤身肉が少なく、低量のヨーグルトなどの乳製品、赤ワインをよく飲むという。その中の何がいいかはわかっていませんが、要はバランスだと思うんです。1つの成分だけ摂るのでなく、普段の食事のバランスをとることが大切なのだと。
進藤 食事で摂るのですね。
新井 その中で果物とか野菜、赤ワインには、ポリフェノールが多く含まれています。以前在籍していた研究所で、たんぱく質の塊を試験管の中で作り、何の物質がたんぱく質の塊ができないかという実験をされていた先生がいたのですが、ポリフェノールはできませんでした。緑茶のカテキンや紅茶のポリフェノールで実験していたので、私もよく飲むようにしています。ただ、脳にどのくらい届くのかなど、科学的な検証はまだされていませんが、緑茶のカテキンは、疫学的なデータでは、1日2杯以上飲む人は、認知症の発症率が半分以下と出ています。


認知症になる人、ならない人の差は?



倉持 私は、祖母が85歳で認知症になり、亡くなったのが96歳だったのですが、施設に預けていました。施設では、人格が変わったような行動をしたりしていた。自分の母とか、手元でお世話したいけれど、どこまで対応していけるのか不安です。遺伝するものですか。
新井 ほとんどは遺伝ではありませんが、ごく一部に遺伝性のアルツハイマー病はあります。親のある遺伝子に突然変異が入っていた場合に受け継がれます。ただ、高血圧や糖尿病、がんは親族に多いとかかりやすいのと同じように、認知症が多い家系の方が発症のリスクは高いですね。
進藤 私は、保険関連のお仕事をしていますが、どの程度の認知症で認定を受けられるのでしょう。
新井 認知症と診断されたら、その重症度によって要支援認定から要介護認定を受けられます。
進藤 物忘れくらいの症状で病院に行ってもいいのか……。
新井 認知症に対応しようと『物忘れ外来』というものがあります。他の病院でも増えています。最近は、ご自分で忘れやすいから心配と受診される方が多いですよ。
倉持 物忘れ外来がない場合、何科に伺えばいいですか。
新井 精神科、神経内科、脳外科あたりでしょうか。
進藤 お客様の中では、かかりつけ医に行きたいという声も聞きます。大きい病院だと専門的だけれど、予約が大変と思っておられるようです。かかりつけの医師が内科という場合は、認知症のアドバイスはできるものですか。
新井 まずかかりつけ医に行ってもらった方がいいですね。それでさらに精査が必要であれば、私たちのところに紹介状をもって来て頂くという手順がいいでしょう。
進藤 特に高齢の方は、知っているところに行きたいようです。
新井 日本の医療政策も、かかりつけ医の先生方が認知症を診ていくという方針です。かかりつけ医の先生方に向けた研修会も盛んに行っていますので、認知症に対する診断能力や意識も高くなってきています。私たちも診断し、ある程度治療方針を決めたらかかりつけの先生の処に戻ってもらい、何かあればサポートをしています。
倉持 認知症になる人、ならない人の違いはなんでしょうか。
新井 年を取るというのが一つのリスクなので、5歳年を取ると2倍ずつリスクが上がり、85歳過ぎると3人に1人が認知症になる。けれどもならない人もいます。遺伝的リスクファクターとして分かっているのが、アポリポたんぱくEというコレステロールを運搬するたんぱく質です。このたんぱくをコードしている遺伝子に血液型のように型があって、4型を1個持っているとアルツハイマー病のリスクが5倍、2個持っていると10倍と報告されています。また、糖尿病の人、中高年期に高血圧になった人、教育年数が短い人に多いという統計がでています。ご自身の素因、そして中高年期の生活スタイルが影響しているのだと考えます。
進藤 予防のためにまずできることは、40代、50代を健康に過ごすことなんですね。
新井 そして、「もしかして」と思ったら、早めに受診してほしい。認知症と分からずにいた場合は、できていたことができなくなり本人の自尊心も傷つき、不安定になる。家族もどう接したらいいかわからない。お互いのストレスが増幅して暴力沙汰になることもあります。認知症だから、と本人も家族も理解できれば、社会生活を周囲もサポートできるんです。生きがいをもてるようなものを見つけてあげましょう。